山原屏風、菊田一朗の言葉から
畑のふちに、テッポウユリが白い花を咲かせて並んでいた。
余りに美しいので、畑に侵入して写生を続けていると、何時の間に現れたのか畑の持ち主であるオジイが手招きしている。てっきり叱られるものと謝りながら近づいていくと、オジイは、「日差しが強いから家で休んでいきなさい。」と言う。
冷たい飲み物を頂きながら、話を伺う。花は見られるために咲いているので、皆が楽しめるように目立つ場所に移したとのこと。話は戦時中の困難だった日々へと及び、しばし時間は過去へとむかう。
オジイの家を後にして、再び眺める白百合は、一段と美しかった。